ニュースリリース

強磁場環境下における大電流母線溶接工法の開発

  当社は、アルミ製錬工場における電流容量増強に伴う増設工事において、強磁場環境下での大電流母線溶接工法を開発しました。

  アルミ製錬炉の電流容量は300kA以上で、その大電流母線は1メートル当たり1トンを超える非常に大きな純アルミの矩形材をアーク溶接によって接続して製作します。
  増設工事では、既存の母線に隣接する場所で溶接作業をする必要がありますが、既存のアルミ製錬炉の電力供給(通電)を停止すると、炉内で溶融しているアルミ材が固着し、最悪の場合には炉本体の破壊となり莫大な損失が発生する恐れがあるため、通電した状態で作業することになります。
  しかし、非常に大きな電流が流れている近傍では700ガウスを超える磁場が発生しており、強度の磁場により溶接アークが捻じ曲げられるなど、従来の工法では品質の確保が困難な状況でした。

  そこで、解決策として強磁性体による磁気遮蔽に着目し、溶接可能な強度まで磁場を遮蔽する磁気シールド工法を開発することとしました。そのための課題は、次の3点です。

<開発、施工上の課題>
1. シールド材料の選定
高い磁気遮蔽性能の他に加工性や市販性に優れ現場での製作が可能な材料の選定
2. シールドの構造、形状
施工方法や条件を加味した上でより効果的な構造、形状の検討
3. 施工中の安全対策
感電防止対策の検討


  これらの課題について、検討と実証試験を何度も繰返し行った結果、磁気シールドの材料には無方向性電磁鋼板を使用し、二重構造にすることで、溶接箇所の磁場を50ガウスまで低減することができ、また作業時には接地し、導体電圧の監視等の対策を実施することにより、安全を確保することができました。
  結果、大電流通電状態でも高い溶接品質の確保が可能となり、工期の短縮も図ることもできました。

  近年、大型のアルミ製錬工場は、豊富な石油資源を背景に電力コストが格段に安価で、かつ大消費地であるEU諸国との距離も近い中東諸国に集中して建設されており、増産、増設と活況を呈しています。
  当社では、2007年から中東各国でのアルミ製錬用大電流母線の設計・製作・現地据付指導員派遣を行っており、大電流母線材料となるアルミニウムは既に2千5百トン以上の納入実績があり、今後は今回開発した工法を水平展開することでさらなる受注の強化を図って参ります。
  また今回の経験を活かし、今後も施工方法の改良、開発に取り組み、施工技術力の強化にも努めてまいります。



<本件に関する問い合わせ先>
電力事業部変電部
TEL 06-6537-3694