2021.11.10 リリース

海峡横断箇所の架空送電線工事を施工

住友電設は、海峡横断箇所の66kV架空送電線工事において、当社が製作した高張力延線車を使用し、無事完工いたしました。

今回施工した箇所は、岡山県玉野市から香川県荒神島を経て直島に電力を供給している唯一の送電網で、県境の海峡部を海底ケーブル1回線、架空線1回線で構成しており、1回線での送電でした。
海底ケーブルを布設している海域は船舶の往来が頻繁で、いかりによる損傷等で直島町内を停電させたことがあり、また鉄塔の老朽化もあったことから、電力の安定供給を図るため架空線2回線を新設することとなり、当社は岡山県から香川県荒神島(無人島)間の海峡部区間の工事を担当いたしました。

                          

線路経過地図

一般的な海峡工事では、新設ルートを別に設け先行して施工し、線路を運開した後、既設線路を除却するのが効率的ですが、本工事は用地事情により既設鉄塔と同じ位置に新設鉄塔を建設するうえ、海底ケーブルに支障があった場合に送電する必要があるため、既設の架空線を残したまま工事を施工しなければならない状況でした。
 架線における工法は、本土側で繰出し巻取りを行う「ループ延線工法」を採用することとしましたが、施工区間には海峡横断となる約1.5kmの長径間を含んでいるため、架線工事施工の際に航行する船舶との離隔確保や一定の海上高を常時確保する必要があり、それには高張力対応の延線車が必要でした。
しかし、当社保有の延線車は重量が重く運搬上の問題があったため、今回の施工現場での使用は困難であると判断し、8.0t車で運搬が可能(分解時の単体最低重量を6.0t)な高張力用延線車を新規に製作し、延線および緊線作業を施工することといたしました。

今回の架線工事では、既設の送電線を停止している間に海底ケーブルに障害があれば直島への送電ができなくなり、直島の企業や島民に多大な被害を及ぼす恐れがありました。既設の架空線を残した状態で元位置に新設鉄塔を建設、架線工事を施工するうえ、長径間、高張力箇所での工事は国内でも例がない困難な工事でしたが、適切な工法の検討と海上保安庁、船舶会社、電力会社等、関係各所との綿密な協議、調整の結果、竣工することができました。
                                 

巻取り繰出し場状況

今後は、送電線の老朽化による更新工事の増加が見込まれることから、今回製作した延線車も活用し、お客様に満足いただける工事を提供できるよう取り組んでまいります。