2016.11.09 その他
低熱抵抗型スラリーモルタルの開発
当社は、非開削工法での地中送電線推進工事における推進管内の充填材として、低熱抵抗型スラリーモルタルを開発しました。
近年、都市部においては、地中埋設物の輻輳化や道路事情により開削工法での新たな地中埋設物工事が困難になってきており、非開削工法である推進工事での施工が増加しています。地中送電線路の推進工事においては、推進工事完了後に、推進管内にケーブル入線用パイプを配管し、推進管とパイプの空隙部にセメント系の充填材料を注入しますが、当社においては、1999年に開発した産業廃棄物のリサイクルによる充填材(以下、スラリーモルタル(注1))にて施工実績を重ねてきました。
しかし、スラリーモルタルをはじめ既存の充填材は、熱抵抗値が高く、ケーブル送電容量の低下につながることから、近年、電力会社から一般土壌と同等以下の熱抵抗値の充填材を使用するよう要望があり、送電容量を低下させることのない熱放散性の良い充填材「低熱抵抗型スラリーモルタル」の開発を行いました。
低熱抵抗型スラリーモルタルの開発にあたっては、従来の充填材料の基準である比重、フロー値、ブリーディング率、一軸圧縮強度等に加え、送電容量を確保するために不可欠な熱抵抗値について、1.0m・K/W以下(注2)とすることを目標としました。
熱抵抗値は充填材の比重に影響するため、添加材を混入し密度調整を行うことで熱抵抗値の低下を図ることとし、添加材には、粒子の単位比重が高く水に溶けにくい性質から炭酸カルシウム(石灰石微粉末)を採用しました。また、炭酸カルシウムを添加材としたスラリーモルタルについて、セメント、炭酸カルシウム、スラリー原液の配合を変えて実証実験を重ね、すべての項目において目標値を達成することができました。
充填材料の特性比較
※1 石炭灰、セメント、水を配合したもの
※2 当社測定実測値
※3 他社測定実測値
これにより、ケーブル送電容量低下の問題を解消した低熱抵抗型スラリーモルタルの実用化が可能となり、すでに姫路市内の幹線道路での推進工事において採用し、熱抵抗値は目標とした1.0 m・K/W以下(実測値:0.984m・K/W)を達成し、客先より高評価をいただいております。
今後は、充填材料の品質向上に向け標準化を行うとともに、電力会社への営業活動を強化し、更なる受注拡大に努めてまいります。
(注1) 無機性汚泥を生成したもの(スラリー原液)にセメントを配合したもの
(注2) 現在、充填材料として推奨されているフライアッシュモルタルと特性比較を行い設定
<本件に関する問い合わせ先>
電力事業部西部地中線部
TEL 06-6462-5791
近年、都市部においては、地中埋設物の輻輳化や道路事情により開削工法での新たな地中埋設物工事が困難になってきており、非開削工法である推進工事での施工が増加しています。地中送電線路の推進工事においては、推進工事完了後に、推進管内にケーブル入線用パイプを配管し、推進管とパイプの空隙部にセメント系の充填材料を注入しますが、当社においては、1999年に開発した産業廃棄物のリサイクルによる充填材(以下、スラリーモルタル(注1))にて施工実績を重ねてきました。
しかし、スラリーモルタルをはじめ既存の充填材は、熱抵抗値が高く、ケーブル送電容量の低下につながることから、近年、電力会社から一般土壌と同等以下の熱抵抗値の充填材を使用するよう要望があり、送電容量を低下させることのない熱放散性の良い充填材「低熱抵抗型スラリーモルタル」の開発を行いました。
低熱抵抗型スラリーモルタルの開発にあたっては、従来の充填材料の基準である比重、フロー値、ブリーディング率、一軸圧縮強度等に加え、送電容量を確保するために不可欠な熱抵抗値について、1.0m・K/W以下(注2)とすることを目標としました。
熱抵抗値は充填材の比重に影響するため、添加材を混入し密度調整を行うことで熱抵抗値の低下を図ることとし、添加材には、粒子の単位比重が高く水に溶けにくい性質から炭酸カルシウム(石灰石微粉末)を採用しました。また、炭酸カルシウムを添加材としたスラリーモルタルについて、セメント、炭酸カルシウム、スラリー原液の配合を変えて実証実験を重ね、すべての項目において目標値を達成することができました。
充填材料の特性比較
低熱抵抗型 スラリーモルタル |
従来型 スラリーモルタル |
フライアッシュ モルタル ※1 |
|
比 重(SG) | 1.41~1.473 | 1.22~1.25 | 1.5以上 |
フロー値(mm) | 400±50 | 400±50 | 400±50 |
ブリーディング率(%) | 3.0 以下 | 3.0 以下 | 10.0 以下 |
一軸圧縮強度(N/mm2) | 0.2 以上 | 0.2 以上 | 0.5 以上 |
熱抵抗値 (m・K/W) | 1.0 以下 | 1.10~1.15 ※2 | 0.95~1.18 ※3 |
※2 当社測定実測値
※3 他社測定実測値
これにより、ケーブル送電容量低下の問題を解消した低熱抵抗型スラリーモルタルの実用化が可能となり、すでに姫路市内の幹線道路での推進工事において採用し、熱抵抗値は目標とした1.0 m・K/W以下(実測値:0.984m・K/W)を達成し、客先より高評価をいただいております。
今後は、充填材料の品質向上に向け標準化を行うとともに、電力会社への営業活動を強化し、更なる受注拡大に努めてまいります。
(注1) 無機性汚泥を生成したもの(スラリー原液)にセメントを配合したもの
(注2) 現在、充填材料として推奨されているフライアッシュモルタルと特性比較を行い設定
<本件に関する問い合わせ先>
電力事業部西部地中線部
TEL 06-6462-5791