2017.11.06 リリース

送電線鉄塔における特殊基礎の施工

住友電設は、高島線№191基礎補強工事において、電力供給中の鉄塔の杭工事、ラーメン基礎化工事を無事完工いたしました。

今回施工した送電線鉄塔は1986年(昭和61年)に建設されましたが、周辺の開発計画によって鉄塔敷地は35mの大幅な盛土による地盤の嵩上げが計画されていました。本工事受注時には既に施工された20mの盛土による影響で鉄塔に歪みが発生しており、残りの15mの嵩上げに対応するためには、既設鉄塔の健全性を確保する必要がありました。
  上記の理由により、下図に示す通り、建設当初の支持層まで場所打ち杭を施工し、その上部に高さ約16mのラーメン基礎を構築することで、変形している部材の影響を遮断するとともに、今後実施される15mの嵩上げに対応する計画となりました。



今回の施工にあたっては、主に次の3項目に対して問題点の把握、対策を講ずることで、無事工事を完工することができました。

1.鉄塔状態の維持
電力供給を確保した状態での工事となるため、今回の工事が起因となり鉄塔にさらなる歪みが発生していないかを確認すべく、工事の影響が及ばない場所に設けた基準点から、鉄塔4脚の変位を計測し、管理を行いました。
結果的に、あらかじめ設定した変位管理基準値を超えることなく、安全に施工することができました。

2.杭工事施工
鉄塔内部の上空作業の高さ制限が約12.5mであり、杭芯と鉄塔部材も非常に近接していたため、低空頭仕様のクローラクレーンや短尺仕様のハンマーグラブ等、各制約をクリアできる重機を選択することで、ケーシング接続や鉄筋カゴの組立等の作業時における既設鉄塔との離隔確保および作業性の向上に繋げることができました

3.鉄筋カゴの組立
上空制限下で組立作業が可能かつカゴ寸法が最大にできる接続方法の検討を行いました。
1)接続方法
重ね継手と突合せ継手を比較検討した結果、突合せ継手には以下のメリットがありました。
   ①鉄筋カゴ寸法を最大限まで大きくできる。
   ②継手回数が少ない。
   ③接続作業の簡便さにより工程上のメリットが大きい。
  これにより、突合せ継手が当該現場に適していると判断しました。また、突合せ継手を採用することにより鉄筋重量を約35%軽減することができました。
2)突合せ継手の工法
突合せ継手の工法としてガス圧接継手、溶接継手、機械式継手(モルタル充填継手)について比較検討した結果、より簡便な施工が可能である機械式継手が最適であると判断しました。
しかし、機械式継手については同様の工事で過去に使用実績がなかったため、技術面、強度面について検証し、施主の承認を得る必要がありました。このため、第三者検査機関にて機械式継手で接続した鉄筋について引張試験を実施し、十分な継手強度が確認されたことから、今回の採用に至りました。

今後も、老朽化した送電線鉄塔の建て替えをはじめ、基礎補強や鉄塔改造工事の需要が見込まれるため、今回の実績も活かし、さまざまな制約のある工事にも柔軟に対応し、お客様に満足いただける工事を提供できるよう取り組んでまいります。
 

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