2020.11.10 リリース

最新の標準化規格を採用した大規模高密度無線LANシステムの構築

住友電設は、最新の標準化規格であるIEEE802.11ax(*1)を採用した大規模高密度無線LANシステムを設計および構築し、教育機関に納入いたしました。

このたび無線LANシステムを納入した教育施設は、地上4階、地下2階の体育館としても利用できる施設であり、5,000人規模の高密度環境での無線LANの同時接続と高解像度の映像配信(4K映像)が可能なことが要件でした。
その要件に応えるため、最新の標準化規格であるIEEE802.11ax(WiFi6)を採用し、高密度環境で問題となる電波干渉の抑制等にも対応することで、滞りなく納入することができました。

■高密度設計での電波干渉の抑制
同時接続数を増やすためには、従来、無線アクセスポイント(以下、無線AP)を増やすことで対応していましたが、無線AP増加による電波干渉が無線品質の低下を招くため、無線AP数の最適化と電波干渉の低減を図る必要がありました。
無線AP数については、規格に準拠した無線APを採用し、最低限のアクセスポイントで同時接続できるよう設計、設定のチューニングを行うことで、最適化を図りました。
電波干渉を低減するためには、電波の拡がりを抑える必要があり、一般的に電波の送信出力を絞る方法が取られていましたが、その方法では無線APから離れるほど電波強度が弱くなる問題がありました。そこで今回は電波の送信出力はそのままにベーシックレート(*2)の制御により通信速度の下限を引き上げることで、電波強度を維持したまま電波の到着範囲を抑える方法を採用しました。
また、今回の設計対象は体育館という電波を遮るものがない広い空間であり、電波干渉を招く恐れがあったため、指向性をもつ外付けアンテナの併用を採用することで、より無線クライアントに近い位置へピンポイントで無線電波を送信させ、また天井面と壁面の2か所へ分散する設計にすることで、電波の広がり抑制と強度の両立を図りました。

■通信速度の確保
高解像度の映像配信(4K)に対応するため、無線クライアント1台あたりが使用できる通信帯域15Mbps以上を確保しなければなりませんでした。
OFDMA(一つ無線チャネルの帯域を分割して複数のクライアントに割り振る技術)とマルチユーザーMIMO(*3)最大8台のクライアントで同時送信を行える技術)を採用することで、1台あたり20Mbps超の通信速度を確保することができました。

当社は今回の事例により得られた知見をもとに、大規模施設における高密度環境での設置を見据え、更なる案件受注を目指してまいります。

  (*1):無線LANの通信規格。
  (*2):無線LAN通信の管理通信の閾値を司る設定項目。
  (*3):無線通信高速化の新技術。

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