TCFD提言に基づく情報開示
当社は、気候変動問題をはじめとする地球環境への対応を重要な経営課題の一つとして2003年に制定した「環境基本理念」「環境方針」※1に基づき、事業活動を行っております。この度当社では2023年5月にTCFD※2(気候関連財務情報開示タスクフォース)への賛同を表明しました。2021年6月に改訂されたコーポレートガバナンス・コードの内容も踏まえ、TCFD提言に基づいた気候変動に関する重要情報を以下の通り開示いたします。
- 環境基本理念、環境方針はこちら
- 金融安定理事会(FSB)によって設立された気候関連財務情報開示タスクフォース。
2017年6月、気候変動の影響を金融機関や企業、政府などの財務報告において開示することを求める提言を公表。
TCFD提言が推奨する情報開示項目
ガバナンス | 気候関連リスク・機会についての組織のガバナンス |
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戦略 | 気候関連リスク・機会がもたらす事業・戦略、財務計画に及ぼす実際/潜在的な影響 |
リスク管理 | 気候関連のリスクの識別、評価、管理方法 |
指標と目標 | 気候関連のリスクと機会を評価、及び管理する指標と目標 |

ガバナンス
- 当社は「住友電設グループサステナビリティ方針*」の下、その指針に沿って積極的にサステナビリティ活動を推進しています。
- 2022年1月、経営会議の諮問機関として社長を委員長、経営会議メンバーを委員としたサステナビリティ委員会を設置し、気候変動への対応を含む環境問題全体に係る事業戦略やリスクと機会に関する取り組みを審議・決定しています。またその内容を四半期に1回経営会議及び取締役会に提言・報告しています。
- サステナビリティ委員会の下部組織に、TCFD推進プロジェクトを設置し、各部門とGHG排出量削減へ向けた取組みを推進し、その進捗トレース結果については定期的にサステナビリティ委員会に報告をしています。
戦略(シナリオ分析)
気候変動が当社の事業に及ぼす影響(リスク・機会)について、2050年を想定したシナリオの途上に起こる「低炭素経済への移行に関連したリスク」と「気候変動に伴う物理的影響に関連したリスク」、「気候変動緩和策・適応策による機会」について、TCFDの枠組みをもとに分析しました。
なお分析手法については、今後も継続的に見直しをおこない精緻化に努めてまいります。また、設定した戦略が財務に与える影響については今後開示していく予定です。
シナリオ分析のステップ
下の表は左右にスクロールできます。
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情報収集
TCFD推奨開示項目をベースに外部情報を加味して、建設業界におけるリスクと機会の項目を整理
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リスク・機会の特定
気候変動がもたらす当社事業に与える影響を検討し、影響度の大きいリスクと機会を特定
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対応策の検討・決定
特定したリスクと機会への対応策をTCFD推進プロジェクトチームが中心となり、各部門と意見交換し作成。サステナビリティ委員会に報告
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情報開示
- 脱炭素社会への移行のシナリオ
国際エネルギー機関(IEA)…産業革命前と比べて今世紀末の気温上昇が1.5°C相当となるシナリオ - 自然災害の激甚化のシナリオ
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)…産業革命前と比べて今世紀末の気温上昇が4°C相当となるシナリオ
【移行リスク】低炭素経済へ「移行」するリスク
下の表は左右にスクロールできます。
リスクの種類 | 項目 | 考えられる影響 | 影響度 | 時間軸 | 当社としての対応 |
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政策・法規制 | 炭素税導入 |
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大 | 短・中・長 |
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省エネ政策の強化 |
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大 | 短・中・長 |
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情報開示義務 |
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中 | 短 |
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技術 | 再エネ・省エネに関する新技術の普及 |
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大 | 短・中・長 |
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市場 | 顧客の選好変化 |
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大 | 短・中・長 |
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評判 | ステークホルダーからの要求変化 |
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大 | 短・中・長 |
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時間軸(短:2025年、中:2030年、長:2050年)
【物理リスク】気候変動による「物理的」変化に関するリスク
下の表は左右にスクロールできます。
リスクの種類 | 項目 | 考えられる影響 | 影響度 | 時間軸 | 当社としての対応 |
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急性 | 自然災害の激甚化 |
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中 | 短 |
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慢性 | 異常気象の深刻化平均気温上昇 |
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中 | 中・長 |
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時間軸(短:2025年、中:2030年、長:2050年)
【機会】気候変動緩和策・適応策による「機会」
下の表は左右にスクロールできます。
機会の種類 | 項目 | 考えられる影響 | 影響度 | 時間軸 | 当社としての対応 |
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資源の効率性 | 効率性のよい建築物の普及 |
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大 | 短・中・長 |
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エネルギー源 | 再生エネルギーの利用拡大 |
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大 | 短・中・長 |
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製品/サービス | 低炭素適応商品/サービスの開発、拡大 |
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大 | 短・中・長 |
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市場 |
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大 | 短・中・長 |
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投資家の投資判断の変化(ESG投資の拡大) |
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中 | 短 |
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強靭性(レジリエンス) | レジリエンス(強靭性)技術に対する需要の拡大 |
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大 | 短・中・長 |
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時間軸(短:2025年、中:2030年、長:2050年)
リスク管理
当社では、気候変動問題を経営上の重大な影響を及ぼすリスクの一つとして位置付け、「サステナビリティ委員会」において適切に管理しています。また、「サステナビリティ委員会」の下に「TCFD推進プロジェクト」を設置し、各部門が十分連携の上、気候変動に伴うリスクが当社に及ぼす影響を選別・評価し、対策を立案・推進しています。
指標と目標
当社は、政府による「2050年カーボンニュートラル」方針に沿って、より一層CO2の排出削減に取り組みます。また以下の通りCO2排出量削減目標を設定し、2050年カーボンニュートラルの実現を目指します。
日本政府削減目標 2030年 46%削減(2013年度比)
CO2排出量削減目標(2021年度比)
2030年度 |
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2050年度 |
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当社の温室効果ガス排出量
対象 | 排出量実績 | 目標年排出量 | |
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(基準年度) 2021年度 |
2022年度 | 2030年度 | |
Scope1+2 | 5,766 | 5,100 | 3,102 |
(Scope1) | (3,087) | (2,413) | - |
(Scope2) | (2,679) | (2,687) | - |
Scope3 | 688,809 | 771,341 | 499,387 |
(単位:t-CO2)
- 対象
- 住友電設 関係会社連結(2021年度及び2022年度)
- 算定基準
- GHGプロトコルに基づく算定方法
- 算定範囲
- Scope1 事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(車両燃料等)
- Scope2 他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
- Scope3 Scope1、2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出等)
数値算定及びTCFD開示にあたっては株式会社ウェイストボックスの支援を受けています